出来高分析とは、出来高(売買高)を分析して、株価の今後の動向を予測する手法です。
出来高は、その銘柄にどれだけのトレーダーが注目し、どれだけの株式が売買されているかを示す指標です。
出来高が急増した銘柄は、投資家からの注目度が高いため、株価が上昇する傾向があります。
一方、出来高が急減した銘柄は、投資家からの注目度が低いため、株価が下落する傾向があります。
株式投資は、「美人投票」とも言われ、収益率がいいだとか割安だとか関係なく、1番注目を集めている銘柄が株価が上昇するという特徴があります。
いわゆる「需給」がすべてであり、ファンダメンタルズはあまり気にしないというトレーダーが存在する理由の1つでもあります。
それぐらい出来高=需給は重要です。
株価形成に重要なファクターとなる出来高を分析することは当然のこととも言えます。
出来高分析は、単独で使用しても有効ですが、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い予測を行うことができます。
例えば、出来高が急増したタイミングで、株価が転換するケースがあります。このようなケースでは、出来高分析は、株価が転換するタイミングを予測するのに役立ちます。
出来高分析は、株式投資をする上で、非常に重要な手法です。出来高分析をマスターすることで、より精度の高い予測を行い、より効率的に利益を上げることを期待できます。
出来高分析の基本的な手法
出来高分析の基本的な手法は、次のとおりです。
- 出来高の推移を観察する
- 出来高の増加や減少に注目する
- 出来高の変化と株価の動きの関係を分析する
出来高の推移を観察することで、その銘柄にどれだけの投資家が注目し、どれだけの株式が売買されているかを把握することができます。
出来高の増加や減少に注目することで、投資家の注目度や売買意欲の変化を分析することができます。
出来高の変化と株価の動向の関係を分析することで、株価の今後の動向を予測することができます。
出来高が急増する要因とは?
出来高が急増する要因には、ポジティブな要因とネガティブな要因があります。
【ポジティブな要因】
- 企業業績が好調で、決算発表等にて市場の期待感よりもさらなる成長が予想されるような発表があった
- 新製品や新サービスの発表など、企業にとって継続的にプラスとなるサプライズが報道された
- 機関投資家やヘッジファンドなどの大口投資家が大きなロットで購入していること
ポジティブな要因は、総じて「将来への期待感が現時点の期待感を上回る」ことに尽きます。
ただ、企業にとっていいニュースがあっただけではポジティブとは言えません。
企業にとっていいニュースがあったとしても、既にトレーダーに知られている内容であればサプライズとは言えないからです。
誰も予想だにしていなかった強烈なポジティブサプライズがトレーダーに知れ渡った時、一気に買い注文が殺到し、出来高が急増するわけです。
この場合の出来高急増は、その後も継続的に高水準の出来高を維持し上昇トレンドを形成することが多いです。
ポジティブサプライズ後の出来高急増による急騰は買いのケースは多いです。
ただし、ネガティブな出来高急増も存在します。
【ネガティブな要因】
- 企業の不祥事
- 赤字転落などの業績不振
- 仕手筋による仕手株化
ポジティブな要因とは逆に、いわゆるネガティブサプライズがあった直後は、株は叩き売られ出来高が急増します。
「事件は売り、事故は買い」と言われますが、不正発覚などの事件は素直に売った方がよいことが多い傾向です。
また、赤字転落などの業績不振は言わずもがなですね。
上記2つは、出来高急増と共に株価が急落しますので、ネガティブな出来高急増というのも理解しやすいと思います。
最後の仕手筋による仕手化は特殊です。
仕手筋というのは、本来は犯罪行為ですが、法を潜り抜け「株価が上昇するぞ!!」と市場参加者を扇動し、株価を釣り上げるグループのことを言います。
仕手筋は、出来高の少ない時価総額の小さ目な銘柄を長い期間をかけて少しずつ買い集め、買い集めが終了したら、SNSなどを使い、複数名でそれっぽい理由を述べつつ「株価が騰がるぞ!」と買い煽りを行います。
実際に、株価も上昇させ、演出も行います。
これを鵜呑みにした一般人トレーダーが買い始め、株価が急騰し出来高も急増します。
しかし、実際のところはその会社の企業価値が大きく成長するような要因はなく、冷静なトレーダーからは「なんであんなに急騰してるの??」と思われるような値動きをします。
2021年11月に仕手化し、株価が10倍以上に急騰した後、全戻ししたグローバルウェイのチャート。
株価急騰前は、日々の出来高は微々たるものですが、急騰開始後は寄らずのストップ高の日以外は出来高が急増しています。
しかし、根拠なき急騰のため、11月2日にクライマックスを迎え、急落しています。
このように出来高急増の説明がつかないケースは、仕手筋の介入が疑われるため注意しないといけません。
夢を見てしまいがちですが、仕手株は触らないのが1番だと思います。
しっかりとした背景のない出来高急増+株価急騰には気をつけましょう。
出来高分析の活用法
出来高分析は、次の場面で活用することができます。
- 銘柄の選定
- エントリータイミングの判断
- エグジットタイミングの判断
出来高分析を活用することで、銘柄の選定、エントリータイミングの判断、エグジットタイミングの判断をより効率的に行うことができます。
銘柄の選定と出来高の関係について
銘柄の選定に当たっては、日常的な出来高がほとんどない銘柄は避けた方がよいです。
先にもお伝えしましたが、株式投資は注目を集める銘柄が投資先として優秀です。
出来高がほとんどない=不人気銘柄ですので、株価が動くことを期待しづらいです。
また、いざという時に株を売りたいとなっても買い手が存在せず、思ったような株価で売ることができない、かなり安く売らされる可能性が高くなります。
売買の成立のしやすさは重要なファクターの1つですので、出来高のある銘柄の中から銘柄選定することをおすすめします。
エントリータイミング、イグジットタイミングと出来高の関係について
日常的な出来高から増えた場合は、株価が動いた方にトレンドが形成されるケースが多いです。
株価が上昇した場合は、まだ株を持っていないのであればエントリータイミングになりうるでしょう。
株価が下落した場合で、すでに株を保有している場合はイグジットタイミング(利確・ロスカット)ということになるでしょう。
また、保有株が満足なレベルまで上昇し、出来高が細ってきた時もイグジットタイミング(利確)と言えます。
あと、相場転換の目安となる出来高変動として、バイイング・クライマックスとセリング・クライマックスがあります。
バイイング・クライマックス(Buying Climax)とは、徐々に出来高が増え、市場の注目が集まりさらに出来高が急増していき、一気に出来高が急増したところで株価も急騰し、その直後、一気に売られて株価が下落し、上昇トレンドから下落トレンドに転換する現象です。
赤枠部分の出来高急増+株価急騰を最後に下落トレンドに転じているのが分かると思います。
過熱のなれの果てですね。
セリング・クライマックス(Selling Climax)は、バイイング・クライマックスの逆で、出来高急増+株価急落を最後に、下落トレンドが終了し上昇トレンドに転換する現象です。
バイイング・クライマックス、セリング・クライマックスともに株価の急変動のみでは判断できず、出来高急増が伴っていることがポイントです。
価格変動だけでは判断できないことも、出来高の変動も注視することで適切なエントリータイミングを判断する材料とすることが可能です。
出来高の変動は、先々の値動きのトレンドを示すことが多いため、注視することをおすすめします。
最後に
出来高分析を行う際には、次の点に注意する必要があります。
- 出来高は、株価に先行する指標であるが、必ずしも株価と連動するとは限らない。
- 出来高は、その銘柄にどれだけの投資家が注目し、どれだけの株式が売買されているかを示す指標であるが、投資家の心理を反映しているわけではない。
- 出来高分析は、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い予測を行うことができる。
出来高分析は、株式投資をする上で、非常に重要な手法ですが、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、より精度の高い予測を行うことができます。
しかし、出来高のみを妄信するのはよくないということですね。
他の分析、手法とともに複合的に出来高分析を使ってより勝率を高めていきましょう。
最後に念のために書かせていただきます。
投資は自己責任でお願いします。
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