テクニカル分析の基礎の基礎といえるかもしれません。
ローソク足チャートのローソク足1本のみでトレンド転換や需給を察知する方法について解説したいと思います。
ローソク足は、2本・3本の組み合わせで意味をもつものもありますが、当記事ではローソク足1本のみでの意味合いを解説していきます。
ローソク足の基礎解説が必要であれば、こちらを参照ください。
ローソク足には、さまざまな形状がある
ローソク足は、実体やひげの長さ、形状によって様々なパターンがあります。
それぞれのパターンには特徴的な意味やメッセージがあります。
大きく分類すると3種類があります。
〇実体が長くひげが短いパターン
〇実体が短くひげが長いパターン
〇実体がなくひげだけのパターン
この3種類をさらに細分化し、個別の名称が存在するパターンが11種類あります。
〇大陽線・大陰線
〇小陽線・小陰線
〇下髭陽線・下髭陰線
〇上髭陽線・上髭陰線
〇コマ
〇十字線
〇一本線
〇陽のカラカサ・陰のカラカサ
〇トンボ
〇陽のトンカチ・陰のトンカチ
〇トウバ
まずは、大きく分類した際の3パターンを解説します。
その後、細分化した11種類を解説します。
実体が長くひげが短いパターン
実体が長くひげが短いパターンは、始値から終値まで一方向に価格が動いたことを示し、トレンドが強いことを意味します。
大陽線などがこれに該当します。
このパターンは、陽線でも陰線でも同じ意味です。陽線は買い圧力が強かったことを示し、陰線は売り圧力が強かったことを示します。
このパターンは、トレンドフォロー型の取引に適しています。
トレンドフォロー型の取引とは、トレンドに沿ってエントリーする取引です。
- 上昇トレンドで陽線が出現した場合は買いエントリー
- 下降トレンドで陰線が出現した場合は売りエントリー
このように、トレンド方向へのエントリーを行うことで、相場に乗って利益を得ることができます。
ただし、このパターンはトレンド中に出現するものですから、トレンドラインや移動平均線などを使ってトレンドを判断することが重要です。
また、実体が長すぎる場合は、過熱や過剰な値動きを示すこともありますので、注意が必要です。(バイイングクライマックスやセリングクライマックスの可能性あり)
実体が短くひげが長いパターン
実体が短くひげが長いパターンは、高値や安値から株価が反転したことを示し、トレンドが弱まっていることや反転する可能性があることを意味します。
カラカサなどが該当します。
底値圏で登場するか、高値圏で登場するかによって意味合いが異なります。
また、髭が下に長いのか、上に長いのかによっても意味合いが異なります。
このパターンは、反転型の取引に適しています。
反転型の取引とは、トレンドの転換点でエントリーする取引です。
- 上昇トレンドで上ヒゲが長くなった場合は売りエントリー
- 下降トレンドで下ヒゲが長くなった場合は買いエントリー
このように、トレンドの反転点でエントリーを行うことで、相場の転換に先んじて利益を得ることができます。
ただし、このパターンは転換点に出現するものですから、サポート・レジスタンスラインやトレンドラインなどを使って転換点を判断することが重要です。
髭が長くなるパターンで多いのが、トレンドブレイクにトライして失敗したパターンです。
仕掛けた側は、リスクを取って多くの玉を抱えた状態で負けたわけですから、大量のロスカットを行わないといけません。
仕掛けに対して反攻した側は、多くの玉を得た上で勝利したわけですから、ポジションを外すわけはなく、さらに追い打ちをかけるでしょう。
これが、髭が長くトレンド転換が発生する際の需給になります。
ただ、仕掛けた側が相当な大口投資家であり、資金に余裕もある場合は複数回のトライが発生する可能性はありますので、複数回登場した際にエントリーする方が勝率は高そうです。
実体がなくひげだけのパターン
実体がなく髭だけのパターンは、始値と終値が同じで価格が変わらなかったことを示し、需給が拮抗していることや方向感がないことを意味します。
このパターンは、十字線(どちらも同じ長さの影)、ハンマー(下ヒゲが長く上ヒゲがない)、逆ハンマー(上ヒゲが長く下ヒゲがない)、星(どちらも短い影)などが該当します
このパターンは、ブレイクアウト型の取引に適しています。
ブレイクアウト型の取引とは、価格が一定の範囲から抜け出すことを狙う取引です。
- レンジ相場で十字線が出現した場合はブレイクアウト方向へのエントリー
- 上昇トレンドでハンマーが出現した場合は上方ブレイクアウトへのエントリー
- 下降トレンドで逆ハンマーが出現した場合は下方ブレイクアウトへのエントリー
このように、価格が一定の範囲から抜け出すことを狙ってエントリーを行うことで、相場の加速に乗って利益を得ることができます。
ただし、このパターンはブレイクアウト前に出現するものですから、サポート・レジスタンスラインやトレンドラインなどを使ってブレイクアウトポイントを判断することが重要です。
また、このパターンは信頼度が高いですが、フェイクアウト(突破後に元に戻る)の可能性もありますので、注意が必要です。
大陽線・大陰線
大陽線は、始値よりも終値が高いローソク足で、上昇トレンドを表します。
実体が大きく、ヒゲがほとんどない場合は、買いの勢いが強いことを示します。
逆に、大陰線は、始値よりも終値が低いローソク足で、下降トレンドを表します。
実体が大きく、ヒゲがほとんどない場合は、売りの勢いが強いことを示します。
先にも解説したとおりですが、基本的にはトレンドフォロー型のエントリーの目安に使うのが一般的です。
上昇トレンド中に大陽線が発生したら買いという具合です。
ただし、注意点も存在します。
大陽線があまりにも大きすぎる場合は、一気に過熱感が出てしまうため、次の日に売られる可能性が高くなります。
また、丸坊主と呼ばれる終値=高値のローソク足が現れた次の日にギャップアップで始まった場合は、買われ過ぎと警戒したトレーダーからの利確売りが出やすい傾向にあります。
あと、トレンドに反するように突如現れる大きいローソク足はだましの可能性が高いため注意が必要です。
下落トレンド真っ最中で、底値圏の形成すら行われていない状況で、いきなり大陽線が現れることを化け線と呼びますが、トレンド転換と飛びついてみたら、さらに下に掘っていくということがあります。
大陽線でのエントリーは、トレンドフォローであることと初動であることが重要です。
小陽線・小陰線
小陽線は、始値よりも終値が高いローソク足であり、小陰線は、始値よりも終値が低いローソク足です。
明確なトレンドを示すものではありませんが、複数の小陽線が連続するような場合は上昇トレンド継続と判断することができます。
意外かもしれませんが、トレンドが長く続く安定した銘柄には、小陽線が連続するものが多いです。
これは過熱感が出ないため、ホルダーが安心してみていられるという側面があります。
短期での大きな値動きは期待できないため、派手さのあるトレードが好みのトレーダーには不向きですが、中・長期戦略のトレーダーは、小陽線が続くような銘柄を狙うのも1つの戦略です。
下髭陽線・下髭陰線
下髭陽線は、始値よりも終値が高いローソク足で、下ヒゲが長くて上ヒゲがないか短い場合は、安値圏で買われて反発したことを示します。
このパターンは、下落トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆することがあります。
逆に、下髭陰線は、始値よりも終値が低いローソク足で、下ヒゲが長くて上ヒゲがないか短い場合は、安値圏で売られて反落したことを示します。
このパターンは、上昇トレンドから下落トレンドへの転換を示唆することがあります。
髭の長いローソク足は、一方的に売られた後に、猛烈な買いが入る+売りが枯れたという状況を暗示するものです。
売るトレーダーが少なくなり、新たに買いポジションを持った大口投資家が現れたとなれば、買い方が勢いづくのは容易に想像ができますね。
底値圏ではなく、高値圏で登場した場合も一時的に売られはしたもののまだ安く買いだと判断した大口投資家が存在することを意味するものですので、トレンド継続と捉えるのが自然でしょう。
上髭陽線・上髭陰線
上髭陽線は、始値よりも終値が高いローソク足で、上ヒゲが長くて下ヒゲがないか短い場合は、高値圏で売られて押し戻されたことを示します。
このパターンは、上昇トレンドの終わりや反転のサインとなることがあります。
陰線も同様です。
ただ、安値圏で登場した場合は、一旦は買われたものの再度売られたことを示すため、下落トレンドの継続を示すことが多いです。
上髭が長い場合は、新たな買い手として大口投資家が参戦したことを示唆するため、上昇トレンドへの転換の糸口になることもあります。
次のローソク足で上髭を回収するように陽線が現れた場合は、トレンド転換の可能性が高まります。
コマ
コマは、実体が小さくてヒゲが長いローソク足で、値動きが小さくて方向性が不明な相場を表します。
市場が上か下かを迷っている状態ですので、コマの登場でトレンド継続か反転かを知ることはできません。
次のローソク足がどうなるかによります。
ただ、十字線に比べると陽線、陰線がはっきりしている分、上昇トレンド中の陽線のコマであれば買い目線継続、上昇トレンド中の陰線のコマであれば、トレンド転換を疑う方がよいでしょう。
十字線
十字線は、始値と終値がほぼ同じで実体がなく、ヒゲがあるかないかのローソク足で、買いと売りが拮抗している相場を表します。
コマよりも迷いが強い状態です。
コマと同様、前後のローソク足がどのようになるか次第でトレンド継続かトレンド転換かが変わります。
上昇トレンド中に大陽線→ギャップアップしての十字線→ギャップダウンしての陰線という流れであれば、宵の明星と呼ばれるトレンド転換パターンになります。
上昇トレンド中に大陽線→前日高値より安く始まって十字線→ほぼ同じ値から始まり陽線といった上昇トレンド継続パターンも多いです。
ギャップアップ、ギャップダウンが大きな判断要因にもなりますので、十字線が発生したタイミングでのエントリーは避けた方が無難です。
一本線
一本線は、始値と終値と高値と安値がすべて同じで実体もヒゲもないローソク足で、値動きが全くない相場を表します。
このパターンは、非常に稀であり、意味はほとんどありません。
出来高がほぼないような銘柄でしかお目にかからないため、このようなローソク足が登場する銘柄はエントリーしない方が無難でしょう。
陽のカラカサ・陰のカラカサ
陽のカラカサは、下ヒゲが長くて上ヒゲがないか短い陽線で、安値圏から反発した相場を表します。
このパターンは、下落トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆することがあります。
逆に、陰のカラカサは、上ヒゲが長くて下ヒゲがないか短い陰線で、高値圏から反落した相場を表します。
このパターンは、上昇トレンドから下落トレンドへの転換を示唆することがあります。
基本的には上記の考え方でよいと思いますが、わたしの感覚では高値圏で陽のカラカサが登場した場合もトレンド転換に注意した方がよいと思います。
高値圏で大きく売られたものの、なんとか息も絶え絶えで始値よりは上げた状態と捉えることもできるためです。
売りの圧力が高かったことは紛れもない事実であり、その売りに対して強烈な買いで盛り返し切れたとも言えない状況です。
あまり強気になれるローソク足ではありません。
とくに、上昇トレンド中にギャップアップで発生した陰のカラカサは下落トレンド転換の超危険信号です。
首吊り線という物騒な名が付けられるぐらいですので、ホルダーは即逃げ推奨です。
ただし、高値圏であっても直近高値から押しが入り、移動平均線や水平ラインのサポートラインに引っかかる形で登場した場合は、押し目の切り返しになることも多いですので、エントリーを検討したいところです。
トンボ
トンボは、十字線で高値と安値が離れているローソク足で、方向性が不明な相場を表します。
このローソク足は、カラカサと近いイメージです。
陽のトンカチ・陰のトンカチ
トンカチは、カラカサの逆バージョンです。
陽のトンカチは、上ヒゲが長くて下ヒゲがないか短い陽線で、高値圏から反落した相場を表します。
このパターンは、上昇トレンドから下落トレンドへの転換を示唆することがあります。
逆に、陰のトンカチは、下ヒゲが長くて上ヒゲがないか短い陰線で、安値圏から反発した相場を表します。
このパターンは、下落トレンドから上昇トレンドへの転換を示唆することがあります。
上髭陽線・上髭陰線と考え方は同じです。
陽・陰に限らず、高値圏で登場した場合は下落トレンド転換を警戒、安値圏で登場した場合は上昇トレンド転換を期待できるローソク足です。
安値圏で現れると、思わず「こんなの買えない・・・」と身構えてしまうものですが、大きく買われた事実は重要です。
また、始値から下に売り込まれていないことから、始値付近が買いのポイントと決めて拾っている大口投資家が存在する可能性が高いです。
次のローソク足で陽線で上昇した場合は、トレンド転換の可能性が高くなりますので、先回り買いの勝率は高いと思います。
トウバ
トウバは、十字線で高値と安値が近いローソク足で、方向性が不明な相場を表します。
トンカチの始値=終値のパターンですね。
トンカチとほぼ同じ意味合いで捉えてよいかと思います。
最後に
ローソク足のパターンを見分けて相場の動きを読む方法について解説しました。
ローソク足は、実体や髭の長さや形状によって様々なパターンがあります。それぞれのパターンには特徴的な意味やメッセージがあります。
ローソク足は株式投資における基本的かつ重要なチャート分析方法です。この記事で紹介した内容を参考にして、ぜひ実践してみてください。
最後に念のために書かせていただきます。
投資は自己責任でお願いします。
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