【株式投資】多用は禁物!信用売りのメリットとデメリット、注意点について【空売り】

投資

信用取引口座を開設する理由の1つとして、空売りができるようになるがあります。

 

株式投資をはじめたばかりの時は、現物取引のみ(信用取引口座の開設には、少々の投資歴を求められることが多いです。)のため、買いでしかエントリーできません。

 

地合が悪く、株式相場自体が下落トレンドにある場合、買いのみで立ち向かうのは不利に感じてしまうものです。

 

そして、このようにも思うはずです。

 

売りでエントリーできたら、逆に儲けやすくなるのでは?と。

 

実際、信用売りを使い始めると幻想であることに気付くのですが、トレーダーの通る道あるあるですね。

 

わたしの感覚ですが、信用売りをメインで取引して利益を得ているトレーダーは少ない印象ですし、自分自身の経験からも信用売りで利益を得るのは難しいです。

 

ただ、一時的に株価が下落しそうなタイミングで買っている株を手離さずに新たに信用売りのポジションをたて、買いポジションの損失を信用売りで得た利益で相殺して難を逃れたことはあります。

 

いわゆるヘッジ売りと呼ばれる信用売りの使い方ですが、買いポジションの損失の緩和を目的とした信用売りは戦い方のバリエーションが増えますので有用だと感じています。

 

しかし、基本的な投資知識とある程度の経験、センスが必要であることにかわりはありません。

 

投資初心者が特攻するのは危険な領域、それが信用売りの世界です。

 

わたしも妄想したことがあるのですが、「株価の上下に合わせてド転買い、ド転売りを繰り返して最大効率で利益を伸ばせるのでは?」と考えてしまいがち。

 

しかし、それは夢物語であることをすぐに気付かされるはずです。

 

株式投資の知識、経験、センスがないと現物取引で買いのみを行っている方がリスクは少ないです。

 

しかし、それで信用売りという武器を封印してしまうのももったいない。

 

ですので、少しずつ練習していきたいところ。

 

信用売りをはじめて行う際は、小さなポジションでお試しすることをおすすめします。

 

この大前提をおさえていただいた上で、当記事では信用売りのメリット・デメリットやおさえるべき知識、注意点を解説していきたいと思います。

 

信用売りとは?

 

当記事を読まれている方は、信用売りについての概要はご存知の方が多いと思います。

 

ですので、割愛しようと思いますが信用売りの基本について知りたい方は、以下の記事を参照してみてください。

 

 

信用売りのメリットとは?

 

信用売りのメリットは、株価の下落を予測した場合に利益を得ることができる可能性があることです。

 

現物取引では絶対に行えない大きな違いです。

 

投資センスのある方であれば、相場が不調となった時、信用売りだけで利益を得ることも可能でしょう。

 

下落相場でも利益を得れるということは、投資チャンスが拡がるということは大きなメリットです。

 

また、先にも書きましたが、買いポジションに対する一時的なリスクヘッジにも使えます。

 

2023年に起こった世界的な信用不安で世界的大手銀行が倒産すると話題になり、銀行株が急落したことがありました。

 

この時、日本の銀行株はYCC撤廃観測を理由に銀行株が買われていました。

 

このように、先行きは買いと判断しているけど、一時的な急落に対応するために買いポジションをクローズするのは避けたいといった時に、売りポジションを新たに立て、売りポジションの利益と買いポジションの損失で相殺するといった使い方がヘッジ売りです。

 

どのタイミングでヘッジ売りするのか?ヘッジ売りした売りポジションをいつ決済するのか?という判断が難しいことにかわりはないですが、このような戦い方も選択肢に入れることが可能になるというのは1つのメリットです。

 

買いポジションを1度決済し、株価が下がってから再度買いなおす行為は、意外に精神をすり減らすんですよね・・・

 

買いポジションと売りポジションを同数持つことを両建てと呼びますが、長期に渡って両建てする意味はありませんので、短期でのヘッジにのみ使うよう注意が必要です。

 

長期で両建てするぐらいなら、買いポジションを決済した方がよいと思います。

 

少し特殊な使い方、株主優待を得るための信用売り

 

銘柄によっては、株主に対して自社商品やクオカードをプレゼントする株主優待が設定されているものがあります。

 

株主優待は、権利確定日に株を現物で保有している(株主名簿に記載がある)ことが条件となっていることがほとんどです。(最近増えてきましたが、複数年保有が条件になっていることもあります。)

 

この現物株を保有していることという条件を株価の変動リスクを排除して満たすことができる方法があります。

 

それが、現物株を買いで保有し、同じ株数の信用売りのポジションを持つという方法です。

 

優待目当てで築く上記のようなポジションを優待取りのつなぎ売りと呼びます。

 

広く認知された方法で、証券会社も堂々と解説をHPに記載しているほどなわけですが、株主優待を行っている会社からすると「う~ん・・・」となる手法ではあります。

※この手法を回避するために、複数年保有を条件に追加する企業が増えたんでしょうね・・・

 

しかし、ルール上、可能な手法を使わない手はありません。

 

株主優待をゲットしたい方からすると、信用売りが使えるメリットの1つとなります。

 

ちなみに、配当に関しては上記の方法は無効です。

 

信用売りは、株主優待でもらえる商品をよこせとは言われませんが、配当については相当額を支払えと言われます。

 

ですので、現物株でもらった配当を信用売りのポジションで返す形になり、相殺されてしまいますので注意してください。

 

信用売りのデメリット、注意点とは?

 

当記事で1番読んでいただきたいパートかもしれません。

 

まず、1番お伝えしたいデメリットは、信用売りができるようになることで、現物取引のみのトレードよりも損失を被る可能性、損失が拡大する可能性も増大するということです。

 

「売りでエントリーできるから、さらに儲けれる~♪」といった頭の中お花畑で手を出していいものではないということは理解しておいてください。

 

下手なトレーダーが信用売りを使うと無限に損失が膨らむ状況に陥ります。

 

いわゆる往復ビンタと呼ばれる状況ですが、買えば株価が下がり、売れば株価が上がるという地獄のようなループがうまれることが多々あります。

 

わたしの経験上、トレードで負けが続き、熱くなったときに発生しがちです。

 

ある程度の知識・経験があり、冷静なトレードができる方のみに許されるのが信用売りです。

 

すぐに熱くなる方、トレードでキレるような方は信用売りは控えた方がよいと思います。

 

それでは、知っておくべき信用売りに関するデメリット、注意点について説明します。

 

1.信用売りの損失は青天井

 

信用売りの1番怖いポイントです。

 

下手な売りポジションを持つと、損失額が無限に膨らみます。

 

買いポジションは、株価が0円になる(上場廃止)が最大損失ですが、購入した株価以上の損失は発生しません。

 

20万円で購入したのであれば、最大損失は20万円に限定されます。

 

しかし、空売りは20万円で売ったとしても、最大損失は決まりません。

 

株価が100万円、200万円と上昇すれば、損失は無限に増えていきます。

 

もちろん、途中で資金が尽きて退場となりますが、時として、退場することすら許されない状況が発生します。

 

それが、寄らずのストップ高連荘フィーバーです。

 

株取引は、買いたい人がいて、売りたい人がいるから売買が成立します。

 

買いたい人ばかりで売りたい人がいない場合、売買が成立せず株価は上がり続けます。

 

仮に、50万円の資金しかない人が、30万円の空売りポジションをもったとします。

 

ここで超絶ポジティブサプライズのニュースが出て、寄らずのストップ高が連続で起こり、やっと売買が成立した株価が60万円でした。

 

となると、30万円の空売りのポジションを強制決済できるのは60万円でしかないわけです。

 

そうすると、50万円の資金しかないトレーダーは差し引き10万円の借金を背負うことになります。

 

寄らずのストップ高ではなく、徐々に株価が上がった場合は、50万円になったところで強制決済されるため、借金を背負うことはありません。

 

しかし、寄らずのストップ高が発生したら地獄です。

 

このように借金を背負うリスクがあることが、信用売りの怖いところです。

 

あと、信用売りは自身の判断でロスカットをしない限り、資金が底をつくまで損失が膨らみ続けます。

 

実際、日本を代表するようなハイパーグロース銘柄(レーザーテックなど)は、10年程度で株価が100倍になりました。

 

このような銘柄を10年前に信用売りし、いつまでもロスカットせずに放置していれば、100万円の信用売りが1億円の損失になります。

 

実際には起こらないとは思いますが・・・

 

ロスカットを強い意志をもって実行できないトレーダーは、信用売りは避けた方が無難でしょう。

 

2.特別空売り料や逆日歩などの追加コストがかかる場合あり

 

信用売りを行うには、信用買いで支払う金利と似たような形で、年利1.1%程度の貸株料を支払う必要があります。

 

貸株料はベースのコストですが、さらにコストがかかる場合があります。

 

その1つが、特別空売り料です。

※呼び方は証券会社によって様々で、ハイカラ(SBI証券)やプレカラ(松井証券)などあります。

 

特別空売り料は、その日で売ってその日で買い戻す日計り取引の際にかかる料金です。

 

大型銘柄や出来高の多い銘柄で設定されていることは稀で、通常は信用売りができない銘柄を各証券会社が独自に空売りできるように設定した銘柄が対象となります。

 

証券会社独自のサービスとも言えます。

 

このため、各証券会社は日替わりで、手数料としての特別空売り料を設定しています。

 

仮に特別空売り料が0.8円と設定されている場合、100株を1回取引すると80円のコストが余計にかかることになります。

 

わたしが直近で見たもっとも高い設定は、1株68円という銘柄がありました。

 

株価が20000円を超える値がさ銘柄ではありますが、100株を空売りするだけで6800円も支払わなくてはならないのはコストとしては割高ですね・・・

 

特別空売り料の存在を知らずに、在庫があるからと空売りしてしまうと余計なコストを支払わなければならなくなる可能性があることを意識しておきましょう。

 

また、信用売りのコストとして逆日歩という品貸料を支払わなければならないケースがあります。

 

逆日歩は、信用売りが大量に入っている銘柄で起こるもので、売り方の建て玉が買い方の建て玉を大きく上回り株不足となることで発生します。

 

逆日歩は、制度信用取引でのみ発生し、発生した場合の額の設定などは日々行われます。

 

ですので、逆日歩が発生するリスクを回避したい場合は一般信用取引で売りポジションを立てれば問題ありません。若干、貸株料の年利が上がりますが・・・

 

ちなみに、わたしが見た中で1番高額だった設定は、3000円台の銘柄で17円の逆日歩がついているのを見たことがあります。

 

100株の空売りで1日1700円もとられるのはちょっと厳しいですよね・・・

 

ちなみに、逆日歩が発生すると、売り方は設定された額を買い方に支払いますが、買い方は、逆日歩を受け取ることができます。

 

信用買いは、普段、金利を支払う側なのですが逆日歩が発生すると金利を受け取る側になるため、逆日歩発生銘柄は買い方に狙われることがあります。

 

信用売りをする身としては、発生する逆日歩よりも買い方に狙われて踏み上げ相場に突入することの方がコスト(リスク)は高いと言えるかもしれません。

 

2023年、ある銘柄が空売り比率が高い点、株価が200円程度と安い点、日々の出来高が少ない点などに目をつけられ、仕手筋の仕掛けが入り踏み上げ大相場になりました。

 

買いポジションだった方々はラッキーでしたが、売りポジションだったトレーダーは連日の寄らずのストップ高に加え、高額の逆日歩を支払わされる羽目になり、地獄絵図でした。

 

信用売りが殺到するような銘柄を信用売りする場合は、それなりに売られる理由はあるものの需給の偏りが発生している状況でもあるため、安易な売りポジションをもたないように注意が必要です。

 

信用売りの制限と規制

 

信用売りは、多くの国や市場で制限や規制が存在します。

 

これは、市場の健全性や倫理的な問題を考慮してのものです。

 

一部の国では、信用売りが禁止されている場合もあります。

 

制限の一例としては、特定の条件や規定を満たすことが求められることや、特定の銘柄に対してのみ許可されることなどが挙げられます。

 

プライム銘柄では信用売りを行える企業が多いですが、スタンダード銘柄では信用売りをできる銘柄は少ないです。

 

信用売りができることを前提とした戦略をとる場合は、対象銘柄が信用売り可能かを下調べしておきましょう。

 

投資戦略が狂ってしまいますので、注意が必要です。

 

最後に

 

信用売りは、株式投資の一手法として注目されていますが、その利用には高いリスクが伴います。

 

トレーダーが信用売りを行う際には、慎重なアプローチが求められます。

 

知識や計画、戦略なしに安易な空売りを行うのは控えましょう。

 

基本は買い、リスクヘッジに売りぐらいの使い方がほどよいように思います。

 

最後に念のために書かせていただきます。

 

投資は自己責任でお願いします。

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