いま、話題になっていますね。
株価が上がっている時はお祭り状態なのですが、下げに転じるとストップ安張り付けを喰らうのがお約束、地獄へ直行便という劇場型銘柄、仕手株について書いてみたいと思います。
2023年7月初旬で話題になっているのは、ヘリオステクノHD(6927)、海帆(3133)の2銘柄でしょうか。
ヘリオステクノHDの日足チャートですが、すさまじい上昇っぷりかつエンディングの大暴落っぷりですね・・・
少し時を遡れば、アースインフィニティ(7692)、グローバルウェイ(3936)、ホーブ(1382)なども話題になりました。
株式投資初心者が、何も知らずにチャートだけを見て「すごく株価が上昇しているから」という理由だけで購入しがちですが、そんなうまい話が転がっているわけがありません。
当然ながら、裏があります。
そんな仕手株のお話をしていきます。
仕手株とは?
仕手株とは、特定の筋(仕手筋)が買い支えや情報操作などで株価を意図的に上げたり下げたりする銘柄のことです。
暴騰や暴落が起こることが多く、大きな利益や損失を生む可能性があります。
仕手株は、一般的には低位株や流動性の低い銘柄が対象となります。
いわゆる小型株ですね。
仕手筋は、市場に出ている株式の大部分を買い占めて、需給バランスを崩して価格操作を行います。
仕手筋は、個人トレーダーがグループを作り、その資金量の中で行いますので、板がスカスカでちょっと買えば株価が跳ね上がるような銘柄を狙ってきます。
出来高が多く、大口投資家が複数入るような中・大型株はターゲットになりません。
ですので、仕手株としてSNSで話題になる銘柄は、「なんの事業やってるの?この会社・・・」という銘柄がほとんどです。
そのような銘柄に対して、話題性のありそうなIRリリースやニュース、信用取引の需給状況などをネタにして、SNSなどで「株価上がるぞ!!」と煽りを入れまくり、強烈な劇場型上昇相場を演じ作り上げるのが仕手筋であり、そのターゲットとなった銘柄が仕手株ということになります。
仕手株の見分け方
仕手株は、以下の特徴や兆候から見分けることができます。
1.SNSや掲示板などで「買いだ!!」と話題になる
最近は、これがもっとも分かりやすい仕手株の判断方法でしょう。
TwitterやYahoo掲示板で、あまり聞いたことのないような企業名の銘柄が話題になっているようであれば、ほぼほぼ仕手株です。
冒頭で紹介したヘリオステクノHDや海帆という企業の事業内容をすぐに答えられますか?
私、どちらの企業も答えられなかったです。
何をやっているのかよく分からない、あまり儲かってそうもない企業に「特大のニュースがあるぞ~、買いだぞ~」という情報が流れてくると「買いなのか?めっちゃ株価上がるのか!?インパクト大なのか!!??」と思っちゃいません?
そこが仕手筋の狙いでもあります。
よくよく考えれば分かることなのですが、儲け話というものは拡散されることはなく、秘匿されるのが当たり前です。
儲け話が拡散されている時点で、カモにされること100%です。
「儲かるぞ~」は「損させられるぞ~」と読み替えるのが大人の嗜みでしょう。
「儲かるぞ~」を発信する人は、信じてはいけません。
2.低位株や流動性の低い銘柄
先にも書いたとおりですが、仕手筋のターゲットになる銘柄は、一般人にとって無名な企業であることがほとんどです。
イコール、低位株や流動性の低い銘柄が対象となります。
低位株とは、株価が数百円以下の銘柄のことです。
流動性の低い銘柄とは、市場に出ている株式の数(発行済み株式数や流通株式数)が少なく、需給バランスが崩れやすい銘柄のことです。
これらの銘柄は、仕手筋が比較的少ない資金で買い占めや売り抜けができるため、価格操作しやすいものです。
また、仕手化させるための材料もそれらしいものを用意するだけで業績インパクトが大きそうに思わせることができるのも大きな要因の1つと思われます。
3.株価や出来高が急激に変動する
これは、実際の値動きからの判断ですね。
仕手筋の買い支えや売り抜けによって、株価や出来高が急激に変動することがあります。
特にストップ高(前日比+18%)やストップ安(前日比-18%)となることが多く、その後も大きく上下することがあります。
1年以上もほとんど値動きがなかったような銘柄が、いきなり急騰し始めるわけですから、その様は異様です。
TOPIX採用銘柄ではありえないようなチャートになりますので、怪しさ満点。
そのような値動きが発生している、もしくは発生した過去がある銘柄は仕手株と判断してよいでしょう。
仕手株を取引する戦略
基本的に、仕手株は触らないのが正解です。
ほぼ、勝てませんwww
というのも、仕手筋(本尊とも言います)が作り上げた台本に沿って株価が動くわけですから、後手後手に動かざるをえないため、戦略もなにもありません。
ましてや、仕手筋は株価が動いていない安い時期に気付かれないように大量購入しており、一般トレーダーが仕手株と気付く時点=株価がかなり上がっている状況でのエントリーと比較すると、買値の優位性に相当な差があります。
簡単に言えば、作りあげられた負け戦に猪突撃するのと同じです。
討ち死に必至です。
とくに、株式投資初心者はスルーしましょう。
1つの経験として体験しておきたいというのであれば、最小ロットで突撃することをおすすめしておきます。
間違っても、大きな資金を投入するのは厳禁です。
という大前提の上で、仕手株を触るのであれば、以下の戦略が考えられるかと思います。
・仕手相場の終盤では買わない
・売られたタイミングで買う
・噴いたら利確
・崩れだしたら、即座にぶん投げ
仕手相場の終盤では買わない
仕手相場は、初動を検知することはほぼ不可能です。
初動で入ればいいのは分かっていますが、そんな神懸ったことはできません。
ですので、どうしても仕手相場の中盤以降でのエントリーということになります。
これがどのタイミングかと言うと、SNSなどで話題になりはじめた直後のタイミングから「買いだ~」と騒ぎ立てているタイミングまでです。
もう、それはそれはわかりやすく買い煽りしているタイミングは、まだ暴落まで時間があります。
終盤になると買い煽りのペースや煽り口調がトーンダウンしてきますので、その変化を感じたら即座に手仕舞いです。
そのタイミングは突然やってきますので、相場に張り付いていられるトレーダーでないと売買は難しいと思います。
売られたタイミングで買う
高値を追うと碌なことがありません。
仕手筋は、急騰と急落を繰り返しながら株価を上げていきます。
急騰時の買いは愚行中の愚行です。
エントリーは急落時+買い煽りがあったタイミングで行うのがよいかと思います。
買い煽りがセットになっていない場合は、相場が終焉を迎えている可能性が高いため、エントリーしたら死にます・・・
噴いたら利確
先に書いたとおりです。
急騰した場面は、買いのタイミングではなく利確のタイミングです。
仕手株で保有し続けるという戦略は取らない方が無難です。
噴きで売り、急落からの買戻しで買いが基本戦略になります。
ちなみに、急騰した日のPTS(夜間取引)で売るのは意外においしい戦略になるかもしれません。
仕手株が急騰した日の夜間取引は、とんでもない高値で取引されることがあります。
ここに売りをぶつけるのはありかもしれません。
逆に言うと、夜間取引での買いは避けた方がよさそうです。
崩れだしたら、即座にぶん投げ
これは、現ポジションに含み損が出ていたとしても徹底しないといけない最大のポイントです。
下げ始めたら、連続ストップ安張り付きになる可能性を考えましょう。
1分でも迷ったらだめです。
即座にぶん投げましょう。
逆指値注文を入れる戦略は、貫通してストップ安張り付けに処される可能性があるため、おすすめしません。
この理由からも、リアルタイムで板を見れるトレーダーのみが取引してよいのが仕手株と言えるのではないでしょうか。
仕手筋がターゲットとする株を仕手化させる手口
わたしは、仕手グループに入ったことがありませんので、いまから書く内容の真偽は不明ですと最初に申し上げておきます。
そもそも、仕手行為は違法ですので・・・
おそらくこういう意図だろうということはイメージがつきますので、それをつらつらと書いてみたいと思います。
仕手化させる手順はこのような感じかと思われます。
1.仕手化させるための材料探し
2.株価が上がり過ぎないように水面下で買い集め
3.目標株数が集まったら、仕手筋のいなごグループを使い株価を上昇させ始める
4.3のタイミングで、SNSなどで1で探した材料を理由に買い煽りを入れる
5.株価が上がったところで冷まし(意図的な売り)を入れる
6.株価が下がったところで再度買い増しし、株価を上昇させる
7.強烈な買い煽りを入れ、株価が急騰した初期段階で売り抜け
8.売り抜け後もそれらしい情報は拡散しつつも高みの見物をしつつ、仕手相場終焉
1つずつ見ていきます。
1.仕手化させるための材料探し
仕手筋は、最終的に株価を暴騰させないと目的を果たすことができません。
それ相応に信憑性が高そうに見え、事業インパクトも大きそうに見えるIRリリースをネタにするか、信用売りの踏み上げ相場を演出するかのどちらかの手口を使うことが多いです。
2023年7月に話題となった海帆であれば、みなさんご存知のAmazonに対してAWSの電力供給に関する大口契約を締結したというリリースをネタに買い煽りが行われました。
また、ヘリオステクノHDでは、信用売買データをネタに需給を絡めて買い煽りがされました。
どちらもパッと見た感じ、「なんかすごそう、なんか株価上がりそう」という感じがしませんか?
とくに、株式投資について詳しくない投資初心者なら何も疑わずに信じてしまいそうな発信内容です。
どちらも提示している内容は事実であり、数字が明記されているので信憑性が高そうなんですよね。
このようなネタを探し出し、演出までのストーリーが描けそうな銘柄を選定するのが初手ということになります。
2.株価が上がり過ぎないように水面下で買い集め
銘柄選定が終わったら、数か月の期間を使い、周りに気付かれないように買い集めます。
ストーリとしては、最終局面の暴騰前にはかなりの買いが入ってくる想定ですから、捌ける範囲の株を安値で購入しておけば、爆益できるというお話です。
ただ、選定銘柄は日中出来高が10000株程度といった不人気銘柄であることが多いため、自分の買いで株価が上がってしまうという買い集めが難しい状況であることが多いです。
ゆえに、買い集めには長い期間を要します。
ただ、この期間での買い集めを検知できる術はありません。
3.目標株数が集まったら、仕手筋のいなごグループを使い株価を上昇させ始める
目標株数を集め終わったら、株価を上げ、話題になるための下準備を始めます。
仕手筋のグループを使い、仕掛けるので買い集め始めてとでも号令をかけるのでしょうか。
その買いから株価が上昇しはじめます。
万年変動のない株価、出来高に異変が起き、気付くトレーダーなら仕掛けが入ったことに気付き始めます。
この動きの検知の早いいなごトレーダーが買い始め、さらに株価が上昇していきます。
4.3のタイミングで、SNSなどで1で探した材料を理由に買い煽りを入れる
株価上昇とともに、買われている理由として1で探し用意していた材料をSNSなどで投下します。
SNSへの投下は、仕手グループの複数アカウントから一斉に行われるため、一気に話題の中心となります。
SNSを見たイナゴトレーダーが、一気に買いを入れ始め、株価は急騰し始めます。
買い煽りが大成功した場合は、連続ストップ高をつけることも。
5.株価が上がったところで冷まし(意図的な売り)を入れる
株価が急騰したところで、行き過ぎた過熱感をとるために冷ましを入れます。
意図的に売るということです。
FOMOで高値で購入したイナゴトレーダーを焼き尽くし、もう1段上を目指せるように・・・
急騰直後に買い、急落でロスカットしたイナゴトレーダーは最速で大損をすることになります。
もしかしたら、このタイミングで本尊は買い集めた保有株の一部は利確しているかもしれませんね。
6.株価が下がったところで再度買い増しし、株価を上昇させる
仕手相場のエンディングに向けて、最後の急騰に向けての買い増しを行います。
チャートの値動き(テクニカル分析)などの投資初心者にも分かりやすいような買い理由や新たな材料をそれらしくSNSに投下し、買い煽りも入れていきます。
そのまま下げていくことはないという安心感を与えつつ・・・
7.強烈な買い煽りを入れ、株価が急騰した初期段階で売り抜け
実際に買いが入り、値動きが上を向き始めるとさらに買い煽りを入れていきます。
仕手相場の餌食になるもっとも動きの遅いイナゴトレーダーが買い、株価が急騰したところに売りをぶつけ、仕手グループの利確は完了。
あとは、イナゴトレーダー同士の「ババを掴むのは誰だ!?」ゲームへと移行します。
8.売り抜け後もそれらしい情報は拡散しつつも高みの見物をしつつ、仕手相場終焉
SNSでの活発な買い煽りはトーンダウン、少しばかりの終焉をにおわせつつ高見の見物です。
イナゴたちの喰いあいから異変を感じ、逃亡者が増えてくると一気に株価は下がり始めます。
そして、瞬く間にストップ安張り付きとなり、仕手相場は終焉。
ストップ安に張り付けられたイナゴトレーダーたちの断末魔だけが悲しく響く中、株価は急騰前の水準まで下落していきます。
最後に
やっぱり、仕手株は触ったらダメですね。
当記事を書いていて、大損するイメージが強く湧いてしまい、取引する気が起きないです。
株式投資初心者は手を出さない方が無難でしょう・・・
最後に念のために書かせていただきます。
投資は自己責任でお願いします。
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